トッププランナーが実践する会話術。クライアントから引き出すべき2つの話とは?

遠藤洋輔 YOUSUKE ENDOU

2004年中途入社 広域局マネジャー

平成18年度優秀ぱど君賞受賞

面白くなかった新人の日々

正直な話、ぱどに入社して最初の頃は仕事にあまりやる気を感じていなかった。知人から紹介されて22歳で入社したものの、「『人・街・元気!』を目指している」と聞いても「ふーん」という具合で、バイトより給与が良いからくらいの気持ちだった。

それでも営業成績は良かった。当時は景気が良かったのでお店も広告に予算をかける余裕があったし、大学時代の飲食店でのアルバイトで『ぱど』に広告を出す仕事を任されていた経験から、広告掲載の仕組みも分かってたという強みがあった。それほど苦労せずともお店に行けば契約がとれるという状態だったのである。

しかし、入社して1年が過ぎると雲行きが怪しくなってきた。同じことをしているはずなのに、全く受注できない。元からやる気が無かった上に結果も出ないのだから面白くない。クライアント先を回っても「反響が出ていないんだよね」と苦い顔を見るばかり。焼肉屋の店長からは「半年続けてみたけど、あまり意味が無いのかなあ」と言われてしまう始末だった。

聞いてよ!この前来たお客さんなんだけど…

そんなモヤモヤを抱えていたある日、進捗ヒアリングのために再び焼肉屋へ足を運んだ。今日も暗いムードかなと思っていると、やけに店長の顔が明るい。「反響が出てる訳でもないのにおかしい」と不思議に思っていると、店長は「この前お店に来てくれた家族の話なんだけどね…」と話し始めた。

その家族は2回目の来店だった。店長がいつも通りに接客していると、「実は先日このお店に来たときは夫婦げんかをしていたんですよ」と話しかけてきたらしい。いわく、夫婦喧嘩をしていたら、『ぱど』を読んでいた子どもが「お肉を食べたい!」とこの焼肉屋さんを指差した。確かにお腹もすいてきたので仕方なく焼肉屋に行ってみんなでお肉をつついていたら、料理は美味しいし、スタッフの対応も良いので、リラックスしてきて何だか優しい気持ちになって楽しいご飯になったという。「だから今回また来店した」と。

この話を店長が嬉しそうに話すのである。「喧嘩していたのに楽しくなってきたんだって」とニコニコと語る顔を見ていたら、やる気が無いと思っていた自分が急に恥ずかしくなってきた。上手くいかないからつまらないと言い訳をする前に、自分は仕事ときちんと向き合ってきたのか?

振り返ってみると、上手くいっていなかった時の自分は数字だけを気にしてそれ以外を怠っていた。「この広告はあまり結果が出ませんでしたか。じゃあクーポンを変えますか?」くらいの薄っぺらい会話しかしていなかった。それじゃあ、長続きする信頼関係なんて築ける訳がない。
契約がとれるとれないではなく、『ぱど』に掲載したことでお店とお客さんに何かしらの良い関係が生まれることが大事なのだとやっと気づいた。自分の役割はそういった人たちを増やすことだ。まさに『人・街・元気!』だったのである。

それからは、仕事に対する姿勢が大きく変わった。お店の課題や未来を真剣に考えるあまり、時にはサービス内容やスタッフの対応にまで言及し、言い合いになることも。おかげで今では10年以上のお付き合いがあるクライアントや、本音で意見を伝え合えるクライアントがいる。

たった2つの大事なこと

ぱどに入社して10年以上が経つ今思うのは、クライアントとの対話で大事なことは2つしかないということだ。それは、「悩みを共有してもらうこと」と「夢を語ってもらうこと」。

予算やタイミングを聞くのではない。直近でどんな問題があるのか。どんな未来を描いているのか。理想は何なのか。課題は打ち明けやすいが、夢は別。いきなり行ったって、教えてもらえない。課題や悩みを解決した後に、次の夢を一緒に追いかけられる人間関係を創り上げることが必要だ。

「営業が怖い」と言う人もいるかもしれないが、私は何も怖くなんてない。それは営業に行っていないからだ。扉を開ける前は、「どんな人がいるんだろう?」とワクワクしている。広告の話をしなければ、『ぱど』を鞄にしまったまま店を出ることもある。売るのではなく、悩みを解決し、夢を一緒に追いかける仲間になることを目指している。

街コンで感じた「ぱどは最後」

人と人とのあたたかみのある関係、例えば商店街などの人間関係が好きである。街を良くするため、膝を突き合わせて語る雰囲気。その意味で印象深いのは、大宮で企画した街コン仕事だ。

横の繋がりはあるけど、集客力が無い飲食店や商店会。
販売ノウハウはあるけど、飲食店との繋がりが薄い旅行会社。
地元のネットワークがあるぱど。

この全く異なる3つが協力して、1つのイベントを創り上げていく面白さを味わえた仕事だった。若手もベテランも職種も越えたごった煮の熱い集団が毎日奔走する。飲食店が10店舗協力し、男女各150名が集まる規模でスタートした街コンは、7回目の最終回では1000人が参加する大人気イベントにまで成長した。

成功した様子を見たときはめちゃくちゃ嬉しかった。反響はもの凄く、終了後に協力してくれたお店を回ると店長が「お疲れ様」と飲み物をくれるのだが、その言い方や表情から満足感がよく分かった。お店同士の交流が活性化し、商店街も賑わい、手伝ってくれたメンバーも自分の仕事の成果を目で見ることができる。沢山の学びがある良いイベントだったが、1番の学びは「ぱどは最後」という認識だった。

一軒一軒お店を回って協力者を集める際に感じていたのは、「ぱどはあくまで手段」という感覚だった。自分たちが企画者なんだからぱどがメイン!という考えは違う。ぱどは裏方。みんなが日の目を見るよう前に出して、ぱどは最後。この立ち位置を身をもって感じることができたことが大きな収穫だった。

地方創生の仕事でも日本一のぱどを目指して

現在の私が担当している仕事は地方創生である。全国の県庁や市町村から相談を受け、首都圏へのPR方法を考える仕事だ。入社当時からクライアントの種類はどんどん変わっていった。飲食店やヘアサロン、学習塾から始まり、商工会や商店街、今は行政や自治体と共に仕事をしている。クライアントは変われど、基本姿勢は変わらない。

焼肉屋の店長から学んだ『人・街・元気!』というモットー、大宮のイベントで体感した『ぱどは最後』という姿勢。

地方創生の仕事で1番初めに担当したのは石川県の移住促進プロジェクトだった。すぐにどのぱどの媒体でPRするのか?と考えるのではなく、悩みと夢を聞いて石川県を元気にする方法を考える。結局は、東京で子育て世代の移住セミナーを開催し、都心での子育てに息苦しさを感じている家族に新たな選択肢を提供する良いイベントになった。

『ぱど』は発行部数ナンバーワンということで「日本一のフリーペーパー」だが、発行していない地方エリアの認知度はそれほど高くないのが現状である。私の今後の目標は、様々な事業に挑戦する中でぱどの全国的な認知度を上げ、より多くの人の役に立っていくこと。名実ともに日本一になれるよう、今までの経験を活かし頑張っていきたい。

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